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宇多田ヒカルのアルバム"Fantôme"は「生と死」を感じる最高傑作

長いブランクの後に制作された待望の宇多田ヒカルの新アルバム"Fantôme"

普段邦楽はあまり聴かないのですが、数曲がラジオでもかかるので聴きました。

そして何回か聴いているうちにこれはとんでもない曲ばかりだぞ!と気付くことができました。

喜びと悲しみ、光と闇、生と死を混在とさせるせるようなアルバム構成になっています。

しかしそれは生きていく中で対立するものではなく混じり合って存在するものなのです。

それを示した今作は彼女の新たな傑作といえるでしょう。

 

"Fantôme"

Fantôme

Fantôme

 

 

「道」

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ソカっぽい軽快なリズムの曲。

ジャパレゲのくくりでかけても違和感を感じません。

明るくポジティブなメッセージの歌詞が前向きになれそうです。

(CMしかなかった) 

 

 

「花束を君に」

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このアルバムの中で一番最初にシングルカットされた楽曲。*1

初めは曲調が結構一般的なJポップのように感じられたので、声は宇多田ヒカルっぽいけど誰なんだろう?と思ってしまいました。

ストリングスとか使ってよくある感じ、なんか一青窈みたいだな〜って感じでした。

しかしその歌詞の世界を聴き進めていくと徐々にとてつもなく深い世界を内包していることがわかってきました。

生と死によって引き離される場面を描いています。

その状況にあまり似つかわしくないようにも思える明るめの曲調ですが、この歌詞が乗ると泣きはらした目で見た眩しくうっすら曇った世界が映るように感じました。

いつもの風景なのに何もかもが変わってしまった世界。

涙が枯れるまで泣くことによって少し落ち着き、何か大切なものを手放す感覚がこの曲にはあります。

それでも生きている自分が儚く強く哀しい存在であるような。

そんな経験をした人には深く突き刺さる曲でしょう。

 

 

「忘却」feat.Kohh

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客演には若手人気ラッパーのKohhが参加。

彼のこの曲での第一印象はまるで尾崎豊のようでした。

彼も普段から終わりを強く意識している面があります。

この曲でもストレートに「死」を表現しています。

そして醜いと思えるようなほど暗い世界を感じます。

しかしラッパーは人間の内面をさらけ出し、誰もが隠し持つ醜い面を見せつけ日常にヒビを入れるような存在でなくてはいけないのです。

常識的な「普通の人」から嫌悪を持たれるくらいではないと。

そういった点で彼は今の日本で最高のラッパーだと思います。

意外に思う組み合わせかもしれませんが、宇多田ヒカルはこの曲を「今回のアルバムの中で一番好きかもしれない」と言っていました。

「かも」なんだ。

 

 

他には椎名林檎との共作「二時間だけのバカンス」という豪華な曲や「ともだち with 小袋成彬」がR&Bであったり「俺の彼女」「荒野の狼」のようにモダンジャズっぽい曲もありバラエティに富んでいますね。

前アルバムから8年も期間を空けたのに、いえ、空けたからこその深みかもしれませんが素晴らしい才能の持ち主と言うしかありません。

 

ところでタイトルが全部日本語なのはなぜでしょうか?

偶然なのかもしれませんが少し気になりました。

 

 

さらに熱いレビューはこちら↓

majyonan.hatenadiary.com

 

majyonan.hatenadiary.com

*1:未発表曲中